作業前にそろえる道具と場所

必要なものは、ブロアー、満充電のバッテリー、ボディキャップ、ホコリの少ない場所の4つです。ブロアーは手で握って空気を送るゴム製の道具です。吸気口に逆止弁(吸い込んだゴミを外へ出さない弁)が付いたものを選ぶと、ブロアーの中にたまったゴミをセンサーへ吹き付けにくくなります。先端にブラシが付いたものは、ブラシを外して使います。

バッテリーを満充電にするのは、作業の途中で電源が切れないようにするためです。一眼レフでは、ミラーを上げている間に電源が落ちると、ミラーとシャッターが閉じます。このときブロアーの先端がマウントの中にあると、ぶつかって部品を傷めるおそれがあります。機種によっては、残量が少ないとクリーニング用のモードに入れないこともあります。

場所は風のない室内を選びます。エアコンや扇風機を止め、布団やカーペットのそばは避けます。レンズを外している時間は短いほど安全なので、ボディキャップはすぐ手に取れる所に置いておきます。

やってはいけない操作

スプレー缶のエアーは使いません。噴射ガスが液体のまま出ることがあり、センサー前面に跡が残ります。ガスが急に冷えて結露を起こすこともあります。勢いが強すぎる点も問題です。

ブラシ、綿棒、指、布でセンサーに触れるのもやめてください。センサーの前には、ローパスフィルター(モアレを抑えるフィルター)や保護ガラスがあり、表面にコーティングが施されています。ここに傷が付くと、部品交換の修理になることがあります。口で息を吹きかけると唾液が飛ぶため、これも避けます。

手順1:テスト撮影でゴミの位置を確かめる

まず、ゴミが本当にセンサーに付いているかを確かめます。撮影モードを絞り優先(A/Av)にします。絞りはF16前後、ISO感度は最低値に設定します。ピントはマニュアルで最短距離に合わせ、写す対象をぼかします。白い壁か雲のない空を画面いっぱいに入れ、露出補正を+1程度にして白っぽく撮ります。

絞りをF16前後にするのは、ゴミの影がくっきり写るからです。開放に近い絞りでは、影がぼやけて見つけにくくなります。撮った画像はパソコンで等倍(100%)に拡大し、黒い点や薄い輪を探します。レンズを通った像は上下左右が反転してセンサーに届きます。そのため、画像の上側に写る点は、センサーの下側にあります。

カメラの向きを変えて2〜3枚撮り、点が毎回同じ位置に出るならセンサーのゴミです。特定のレンズでしか出ない場合は、レンズ後玉のゴミを疑います。

手順2:カメラのクリーニング機能を実行する

多くのレンズ交換式カメラには、センサーを細かく振動させてゴミを振り落とす機能があります。メニューでの名称は「センサークリーニング」「イメージセンサークリーニング」など、メーカーによって違います。取扱説明書で名称を確認してください。

カメラを水平に置くか、マウントを少し下に向けた状態で、この機能を2〜3回実行します。軽いホコリはこれだけで落ちます。実行したら手順1と同じ条件でもう一度撮り、点が消えていれば作業は終わりです。

手順3:センサークリーニングモードに入る

点が残っていたら、ブロアーを使える状態にします。一眼レフでは、ミラーの後ろにセンサーがあります。「手作業でクリーニング」「クリーニングミラーアップ」などの項目を選ぶと、ミラーが上がってシャッターが開きます。ミラーを下ろしたまま吹いても、ミラーの周りを掃除しているだけです。

ミラーレスカメラは、レンズを外すとセンサーが見える機種が多くあります。ただし、電源を切るとシャッターを閉じてセンサーを守る設定を持つ機種もあります。その場合は、説明書に従ってセンサーが見える状態にしてください。クリーニングモードでは、電源を切るとシャッターやミラーが通常の状態に戻ります。戻らないときは無理に動かさず、メーカーの窓口に相談します。

手順4:マウントを下に向けてブロアーで吹く

まず、ブロアーを空中で数回握ります。中にたまったゴミを外へ出すためです。次にレンズを外し、マウントを真下か斜め下に向けてカメラを持ちます。下に向けるのは、吹き飛ばしたゴミを重力でマウントの外へ落とすためです。

ブロアーの先端はマウントの入口あたりで止め、奥まで差し込みません。短く5〜6回吹き、角度を少しずつ変えてセンサー全体に風を当てます。吹き終えたらすぐにボディキャップかレンズを付け、電源を切ってモードを終了します。そのあと手順1と同じ条件で撮り直し、前の画像と比べます。

作業をやめる目安と、メーカーのサービスに出す判断

手順2〜4を3回ほど繰り返しても点が同じ位置に残るなら、ブロアーでの作業はやめます。油や花粉、水滴の跡のように、センサーに貼り付いた汚れの可能性が高いからです。何度吹いても落ちません。

次のような場合は、すぐに作業を中止してください。作業後に点が増えた場合、筋状のにじみが現れた場合、ブロアーの先端がセンサーに触れた場合です。汚れが広がったり、表面が傷ついたりしているおそれがあります。

こうした状態になったら、メーカーのサービスセンターや修理窓口にセンサー清掃を依頼します。料金、受付方法、仕上がりまでの日数はメーカーや機種によって違います。執筆時点の料金も改定されることがあるため、各社の公式サイトで確認してください。清掃液と専用スティックを使う市販のクリーニングキットもあります。ただし、センサーのサイズに合う道具を選び、正しい力加減で拭く必要があり、失敗したときの損害も大きくなります。初めてならメーカーに任せるのが確実です。自分の作業でできた傷は、保証の対象外になる場合があります。

判断の基準は、自分がふだん使う絞りで点が写るかどうかです。F16の空では見えても、F5.6前後の写真に写らないなら、急いで清掃する必要はありません。ふだんの写真に点が写るようになったら、手順1のテスト撮影から始めてください。