カメラがメモリーカードを認識しない原因は3つに分かれます。カード側の問題、カメラ側の問題、両者の組み合わせの問題です。以下では、可能性が高く手間の少ない順に確認手順を並べます。表示されるメッセージの文言はメーカーや機種で異なります。近い意味の表示に読み替えてください。
表示されたメッセージから最初の確認先を決める
| 表示の例 | 最初に確認する段階 |
|---|---|
| 「カードがロックされています」「書き込み禁止」 | 1. ロックスイッチ |
| 「カードが入っていません」 | 2. 端子と挿し方 → 3. 別カード・別スロット |
| 「カードエラー」「このカードは使用できません」 | 3. 別カード・別スロット → 4. フォーマット形式 |
| 「フォーマットしてください」 | 写真が残っていれば先に復旧、その後4へ |
| 容量が極端に小さい、途中で書き込めなくなる | 6. 容量表示 |
電源を切ってカードを抜き差しし、電源を入れ直すだけで直ることもあります。カードの抜き差しは、どの段階でも必ず電源を切ってから行ってください。書き込み中に抜くと、データが壊れる原因になります。
1. ロックスイッチが書き込み禁止側になっていないか
SDカードの側面には、書き込みを禁止する小さなスライドスイッチがあります。これが「LOCK」側にあると、撮影も削除もできません。スイッチを端子側(上)へ戻して挿し直します。
このスイッチはカードの中の回路を止める仕組みではありません。スイッチの位置をカメラのスロット側が読み取って判定しています。そのため、スイッチが中途半端な位置にある、動きが緩い、欠けているといった場合は、解除側にしていてもロックと判定されることがあります。別のカードでは表示が出ないなら、そのカードは使うのをやめた方が安全です。microSDカードを変換アダプタで使っている場合は、アダプタ側のスイッチも確認してください。
解除しても症状が変わらない場合は、次の段階へ進みます。
2. 端子の汚れと挿し込み方を確認する
「カードが入っていません」と出る場合は、端子が汚れて接触していないか、奥まで挿さっていない可能性があります。カードの向きを確認し、カチッと止まるまで挿し込みます。
端子に皮脂やほこりが付いていたら、乾いた柔らかい布で軽く拭きます。カメラ側のスロット内部には細いピンが並んでいて、曲がりやすくなっています。綿棒や金属を差し込まないでください。ほこりを飛ばしたいときは、口で吹かずにブロアーを使います。息を吹きかけると湿気が入るためです。
3. 別のカード・別のスロットで試して原因を分ける
ここが切り分けの中心です。まず同じカメラに別のカードを挿します。ダブルスロット機(カードを2枚挿せる機種)なら、同じカードを別のスロットにも挿します。可能であれば、問題のカードをパソコンのカードリーダーでも読んでみます。
別のカードが正常に使えるなら、原因は元のカードにあります。どのカードでも同じエラーが出る場合や、特定のスロットだけでエラーが出る場合は、カメラ側の故障が疑われます。問題のカードがパソコンでは読めるのにカメラで読めないなら、フォーマット形式か規格の対応が原因の可能性が高いため、4と5に進みます。パソコンでも認識しないカードは、カード自体の故障が考えられます。
写真が残っているならフォーマットの前に復旧を試す
「フォーマットしてください」と表示されても、未保存の写真が残っているなら実行してはいけません。フォーマットすると復旧が難しくなります。まずそのカードでの撮影をやめ、カメラから抜いて保管します。
パソコンで認識できる場合は、読めるファイルを先にコピーします。読めないファイルがあれば、カードメーカーが提供する復旧ソフトや市販のデータ復旧ソフトを試します。無料版で復旧できるファイルを確認し、実際の復旧は製品版で行う仕組みのソフトが多くあります。パソコンでも認識しない場合や、カードが物理的に割れている場合は、自分で操作を続けないでください。データ復旧の専門業者に相談します。費用は症状によって大きく変わるため、見積もりを取ってから判断してください。
4. フォーマット形式がカメラに合っているか
パソコンでフォーマットしたカードや、別の機器で使っていたカードは、カメラが扱えない形式になっていることがあります。SDカードの規格上の標準は、SDHCがFAT32、SDXCがexFATです。パソコンでNTFSなどの形式に変えたカードは、カメラでは読めません。
データを退避したら、そのカメラのメニューからフォーマットします。カメラでフォーマットすると、その機種に合った形式とフォルダ構成で初期化されます。カメラでのフォーマットがエラーになる場合は、SDカードの規格団体であるSDアソシエーションが配布する「SDメモリカードフォーマッター」を使います。これでパソコンから初期化し、改めてカメラでフォーマットします。それでも失敗するカードは故障の可能性が高いため、交換します。
5. カードの規格にカメラが対応しているか
SDカードは形が同じでも、容量によって規格が分かれています。SD(2GBまで)、SDHC(32GBまで)、SDXC(2TBまで)、SDUC(2TB超)です。SDHCまでしか対応していない古いカメラに64GB以上のSDXCカードを挿しても、認識されません。カードのラベルにある規格のロゴを、取扱説明書の対応カード欄と照らし合わせてください。
UHS-IIカード(高速な転送方式のカード)は、UHS-Iにしか対応していないカメラでも使えます。速度がUHS-Iの範囲に下がるだけです。書き込みが遅い、動画が途中で止まるといった症状は、認識の問題ではありません。多くはスピードクラス(V30やV60などの表記)が足りないことが原因なので、取扱説明書の推奨クラスを確認します。CFexpressカードはType AとType Bで形状が違い、互いのスロットには入りません。無理に挿すとスロットを傷めるため、カードとスロットの種類を必ず確認してください。
6. 容量表示が不自然でないか
容量表示が額面より少し少ないのは正常です。カードメーカーは1GBを10億バイトとして表記しますが、カメラやパソコンは1024単位で計算します。そのため、64GBのカードは59GB前後と表示されます。
数十MBしか表示されない場合は、別の機器で領域を分割されるなどして、管理情報が崩れている可能性があります。データを退避したあと、フォーマッターで初期化すると戻ることがあります。額面の容量に届く前に書き込みエラーが出る場合は、実際より大きな容量に見せかけた偽造カードの典型的な症状です。極端に安いカードや、出所の分からない販売元のカードで起きやすくなります。パソコン用の容量検査ソフトで実際の容量を確かめられます。偽造と分かったカードは記録用に使わないでください。
7. カメラのファームウェアを確認する
新しい規格や大容量カードへの対応が、ファームウェア(カメラを制御する内蔵ソフト)の更新で追加されることがあります。メニューで現在のバージョンを確認し、メーカー公式サイトの最新版と比べます。更新するときはバッテリーを満充電にし、手順に従って途中で電源を切らないようにします。更新にカードを使う機種が多いため、正常に使える別のカードを用意しておいてください。
直らないときは「複数のカードで同じ症状が出るか」で判断する
7段階すべてを試しても直らない場合は、同じ症状が複数のカードで出るかどうかで判断します。1枚だけで起きるなら、カードを交換します。どのカードでも起きる、または特定のスロットだけで起きるなら、メーカーのサポート窓口に修理を相談します。相談の際は、表示されたメッセージ、試したカードの型番、ファームウェアのバージョンを伝えると、話が早く進みます。カードを買い替える場合は、先にカメラの対応カード一覧を確認してください。価格は容量や速度によって大きく異なり、執筆時点の相場もすぐに変わります。最新の価格は販売店で確認してから選んでください。